遠州三河住宅読本
「こだわりの家づくり」
2007年1月25日に発売された雑誌「こだわりの家づくり」
に掲載されている『ロハスな家』をご覧ください。

1枚の絵から始まった家づくり
南欧民家スタイルを遠州の風土に再現。 浜松市 A様邸

新婚旅行で行ったアンダルシア。
その明るい光を住まいの原点に。


 「私たちの家づくりは、この絵から始まったんです。」
 Aさん夫妻は、明るく開放的なリビングの壁にかかった一枚の絵を指して言った。

 Aさんが浜松市の自宅を建て替えたのは7年前。 設計、施工を依頼されたアズの永田社長は、Aさんから「こんなイメージで新築したい」と、この絵を見せられた。Aさん夫妻が新婚旅行で訪ねたスペイン、アンダルシア地方で手に入れたもの。地中海に面した丘陵に立つ民家をデザインした染絵である。




 新婚旅行といってもリュックを背負って二人で気ままに巡るヨーロッパの旅行だった。 それだけに旅先で見たもの,触れたものは一生の想い出として二人の心に焼き付いている。 数年を経て、住まいを新築することになった時、二人が描いたイメージは、迷わず南スペインの民家だった。

 コスタ・デ・ソルの明るい太陽と青い地中海、そこに建つ民家はAさん夫妻にとっては幸せの原点である。
 こうしてアズの永田社長との楽しくも真剣なキャッチボールが始まったのだ。





パテイオを中心に光あふれる。
    のびやかな空間の広がり。


 「最初に設計提案をしてから、数十回も図面を描き直しましたよ。その間、約半年を費やしました。」
 永田社長が見せてくれたファイルには、AからJまで記号の付いた設計図がある。一枚一枚が異なり細かな検討のあとが読み取れる。 しかし、よく見比べるとすべてに共通している点がある。 それはリビングやダイニングの共用空間がパテイオ(中庭)を中心に配置されていること。

 明るい南欧の住まいのようにパテイオを中心にした間取りが、この家の基本コンセプトであることをうかがわせる。
 イタリアン・タイルのパテイオ中央には植栽用の土壌部がある。 そこに植えられたシンボルツリーのヤマボウシは、もう立派に成長し、やさしい木陰を落としている。 この中庭は玄関ホールの正面に当り、東のリビング空間、西のダイニング空間とワイドな開口部でつながり、吹き抜けの二階ホールからも見下ろせる。
 光をいっぱいに招き入れ、住まいの内と外をつなぐ快適な生活空間として機能している。




リビングから中ニ階を経て二階へ。
縦にもつながる空間構成。


 A様邸の明るくのびやかな空間は、上階へ続く縦の構成にも発揮されている。
ワインセラーを備えたビルドインガレージの上は中二階ホールで、一階から5段ほどのステップで上がれる。 この中二階ホールと玄関ホールやリビングとは壁で仕切らず、一つのオープン空間となっている。

リビングから見上げると、しゃれた意匠の黒鉄製手摺の向うに、壁いっぱいにしつらえた書棚があり、ホールには大きなテーブルが置かれている。 趣味室や書斎といった趣だ。
 中二階からさらに階段を上がると玄関ホールの吹き抜けを渡るブリッジ形の二階ホールへ。ホールは寝室へとつづき、寝室のベランダに出るとパテイオを見下ろせる。
 目覚めて,朝の空気を深呼吸しながらシンボルツリーに季節の移ろいを確かめる,そんな爽やかな時間を想像してしまう。

 この家の伸びやかな空間は、壁やドアで仕切らず、吹き抜けやあらわし天井を活かし、住まい全体を一つの大空間でまとめ上げていることで実現している。 ちなみにドアのある部屋は寝室と子供部屋ぐらいである。




基礎工事や構造など、見えない部分へのこだわりも。

 A様邸の基礎造成工事はかなり大掛かりであった。 ビルドインガレージや、中二階など効果的な高低差を実現するため土地に擁壁をつくり盛り上げて地盤改良もした。
 ベタ基礎底部は20cm厚(通常は15cm)で、上下ダブル配筋だ。立上り部分も15cm巾(通常は12cm)を施しダブルで配筋している。
 建物の重さをしっかり支え、地震にも強さを発揮する。
 また耐力壁は9.5cmの全面パネルで構成、面材全体で強さを確保している。
 パネルは窓や開口部の上下にも張られているため、耐震基準以上の強度が確保される。 



奥様のこだわりが詰まったD.K。
洗面、風呂へは一本の動線で。


 A様邸のダイニングキッチンには、奥様のこだわりが凝縮している。
約15畳の広さを確保し、中央に大理石トップの大型キッチンテーブルを設置。壁面には収納力も十分なキッチンキャビネットが配置されている。
 パテイオに面した明るいスペースにダイニングテーブルが置かれ,両面開きのテラスドアで庭ともつながっている。テラスへ出て屋外の食事もいい。人を招いてのホームパーテイも楽しみだ。
 とくに目を引くのはカラーコーデイネート。キャビネット、カーテン、テーブルなどそこにあるすべてのものが素敵な色調でまとめられている。 ここではご主人とお子様がバイオリンの稽古もするそうで、コーナーに譜台が置かれているのも印象的だ。

 このDKから洗面室,そして浴室へとまっすぐに行ける動線はムダがない。浴室床はスペインタイル張りで、窓が二箇所あり浴槽につかった目線で坪庭を眺められる寸法だ。



個性あふれる自由設計。
『ロハスな家』四つの基本理念。


 アズ インテリア アーキテクトは『ロハスな家』を提唱している。
 ロハスとは「健康的で持続可能な生活スタイル」の意味。スタイルは多様で、A様邸のような南欧風をはじめ、モダンシンプル、和風モダンなど多様な様式を実現できるという。
 永田社長は自らの家づくり姿勢を語る。
「私たちは住む人の個性を最大限に生かした家づくりをモットーにしています。私たちは『世界中に一つしかない住宅』をコツコツとデザイン、設計、施工しているビルダーです。人の生活スタイルは、顔の数だけあると考えています。
 さまざまな生活慣習の中から、独自の選択を繰り返して形づくられるものがライフスタイルで、その数は無限です。決まりきった規格の箱で満足できるとは考えられません。
 私たちはまず、お客様の話を聞くところから始めます。そして一棟のプランが決まるまで、何回でも打合せをし、同時に何回でも図面を提案します。そうして決まったプランを、打合せをした技術者本人が完成の日まで責任を持って現場管理しています。
 私たちに営業マンはいません。技術者本人が最初から最後まで、そして建物をお引渡ししてからもお客様とお付き合いを通して対応させていただきます。」と。